日立市の認知症高齢者の現状|一人暮らし・身寄りがない方の相談先と将来への備え

日立市の認知症高齢者の現状
いつまでも、このまちで安心して暮らすために。
朝起きて、カーテンを開ける。いつものスーパーへ買い物に行って、病院へ行って、たまに知っている人と話をする。そんな「いつもの暮らし」を、できるだけ長く続けたい。
でも、もし最近もの忘れが増えてきたら。一人で病院へ行くのが難しくなったら。お金の管理が少し分からなくなってきたら。そして、近くに頼れる家族がいなかったら。そのとき、誰に相談すればいいのでしょう。
認知症というと病気そのものに目が向きがちですが、実際の生活で起こる問題はそれだけではありません。病院に行く、お金を管理する、契約する、住む場所を決める、緊急時に誰かに来てもらう、亡くなった後のことを決めておく。こうした「暮らし全体」をどう支えていくかが大切になります。
今回は、僕たちが暮らす日立市を舞台に、認知症とこれからの暮らしについて少し深く考えてみます。
DATA 01|日立市の、いま。
まずは少しだけ、数字の話から。日立市では高齢化が進んでいます。
市の高齢者保健福祉計画では、2025年の65歳以上人口は約5万6,900人、高齢化率は35.4%と推計されています。つまり、市民のおよそ3人に1人以上が65歳以上という規模です。
さらに高齢化率は、2025年35.4%、2030年37.4%、2040年44.9%と上昇していく見込みです。2040年には、市民の半数近くが65歳以上になる計算です。
ここで考えたいのは、高齢者が増えることそのものだけではありません。これまでなら「娘が病院に連れて行く」「息子が銀行の手続きをする」「兄弟が緊急連絡先になる」「甥や姪が亡くなった後を片付ける」というように、家族が自然に担っていたことがあります。
ところが、一人暮らしの高齢者や、子どものいない方、親族が遠方にいる方が増えると、「家族がやってきた役割を、これから誰が担うのか」という問題が出てきます。これは介護だけでは解決できない問題です。
DATA 02|認知症は、特別なことではない。
日立市では、認知症高齢者についても増加が見込まれています。
市の推計では、2020年約9,524人、2025年約10,649人、2040年約11,944人と増えていく見込みです。65歳以上に占める割合も、2025年には約18.5%、2040年には約20.7%と推計されています。
単純計算すれば、現在でも高齢者のおよそ5〜6人に1人という規模です。
認知症は、「特別な誰かがなるもの」ではありません。自分自身にも、両親にも、近所で暮らしている人にも起こり得る、とても身近なことになっています。
CASE 01|一人暮らしで、もの忘れが増えてきた。
例えば、日立市内で一人暮らしをしている75歳の方を想像してみてください。身体はまだ元気で、自分で買い物にも行けます。
でも最近、薬を飲んだか分からなくなる。冷蔵庫に同じ食品が何個も入っている。病院の予約日を忘れる。電気料金の支払いを忘れる。知らない会社から契約書が届いている。
それでも本人は「まだ大丈夫」と言っています。
こういう場合、「認知症=すぐ施設」ではありません。 まず必要なのは、今までできていたことのうち、何が難しくなってきているのかを確認することです。
食事なのか、服薬なのか、金銭管理なのか、契約なのか、通院なのか、人とのつながりなのか。その人ができることまで取り上げるのではなく、難しくなったところだけを支えていく。 これは、これからの認知症支援を考えるうえで、とても大切な視点です。
WHERE TO GO|「まだ認知症か分からない」でも相談できます。
では、どこへ相談するのでしょう。一つの入口になるのが、地域包括支援センターです。
「最近、親のもの忘れが気になる」「一人暮らしを続けさせていいのか分からない」「お金の管理ができているか心配」「介護保険について何も分からない」といった段階から相談できます。
大切なのは、「完全に困ってから相談する場所」ではないということです。まだ元気、まだ生活できている、でも少し気になる。その段階でつながっておくことに意味があります。
また、認知症が疑われるものの、「本人が病院へ行きたがらない」「介護サービスを拒否している」「近くに家族がいない」といった場合には、日立市認知症初期集中支援チームにつながる方法もあります。
専門職が本人や家族に関わりながら、必要な医療・介護などにつないでいきます。認知症支援は、本人を無理やり病院へ連れていくことだけが答えではありません。本人がどう感じているのか、今どんな生活をしているのか、何なら受け入れられそうなのか。そこから考えていく必要があります。
QUESTION|認知症になったら、銀行のお金は誰が管理する?
ここからが、意外と知られていない問題です。
認知症が進むと、介護以外にも**「契約」と「財産」**の問題が出てきます。例えば、「老人ホームに入りたい」「自宅を売却して施設費用に充てたい」「銀行のお金を管理したい」「介護サービスの契約をしたい」「高額な商品を契約してしまった」といった場面です。
家族だからといって、本人の財産を何でも自由に動かせるわけではありません。そこで関係してくる制度の一つが、成年後見制度です。
GUIDE|成年後見制度とは?
2026年9月現在の法定後見制度には、後見・保佐・補助の3類型があります。本人の判断能力の状態によって利用する制度が異なり、家庭裁判所が後見人・保佐人・補助人などを選任します。
後見人等は、本人の代わりに何でも自由に決める人ではありません。財産を管理したり、必要な契約を行ったり、不利益な契約を取り消したりしながら、本人の権利を守る役割を担います。
ただし、後見人がついたからといって、本人の人生を後見人が全部決めるわけではありません。
結婚、離婚、遺言、医療行為への同意など、本人自身の意思が重要になる行為について、後見人だから自由に代わって決められるわけではありません。
そしてもう一つ重要なのが、後見人の役割は原則として本人が亡くなることで終了するということです。
つまり、財産管理や契約など「生きている間の支援」と、葬儀、火葬、納骨、住居の退去、家財整理、各種解約など「亡くなった後の支援」は、分けて考える必要があります。
NEWS|成年後見制度そのものが大きく変わります。
2026年6月17日、成年後見制度を大きく見直す法律が成立し、6月24日に公布されました。
改正法では、現在の**「後見」「保佐」を廃止し、「補助」を中心とする制度へ一元化**します。成年後見制度に関する改正は、公布から2年6か月以内の政令で定める日に施行される予定です。
そのため、2026年9月現在はまだ現行制度が使われています。
今回の改正で大きいのは、考え方そのものが変わっていくことです。これまでは、判断能力の低下の程度によって後見・保佐・補助に分かれていましたが、これからは「その人が今、どの部分に支援を必要としているか」をより細かく見る制度へ変わっていきます。
CHANGE 01|「全部任せる」ではなく、必要なところだけ支える。
改正後は、本人に必要な範囲で補助人に代理権などを与える仕組みになります。
例えば、普段の買い物や生活費の管理は自分でできる。でも、自宅を売却する手続きだけは難しい。そんな場合には、難しいところだけ支援を受けるという考え方です。
「認知症だから何もできない人として扱う」のではなく、「できることは本人が決め、難しいところだけ支える」。
これは、とても大きな方向転換です。
CHANGE 02|必要がなくなれば、終われる制度へ。
現在の成年後見制度では、「一度始まると途中で終了しにくい」という点が課題として指摘されてきました。
今回の見直しでは、支援の必要性がなくなった場合の終了についても制度が改められます。
必要なときに利用し、必要がなくなれば終了する。 より本人の生活に合わせた制度を目指した見直しです。
CHANGE 03|「本人はどうしたい?」がもっと大切になる。
もう一つ重要なのが、意思決定支援です。
認知症になると、「本人にはもう分からないから」と周囲が決めてしまうことがあります。でも、どこで暮らしたいのか、何を食べたいのか、誰と会いたいのか、何にお金を使いたいのか。できるだけ自分で決めることは、とても大切です。
これからの認知症支援では、「代わりに決める」から「決めることを支える」へ。 この考え方がさらに重要になっていきます。
FUTURE|制度が変わっても、「元気なうち」が大切。
制度が変わっても、変わらないことがあります。
それは、自分で決められるうちに、自分の希望を決めておくことです。
認知症がかなり進んでから、「この人に財産を管理してほしい」「身元保証をお願いしたい」「亡くなった後のことをお願いしたい」「この人に財産を残したい」と思っても、契約などに必要な判断能力が十分でなければ、希望どおりの準備が難しくなる場合があります。
だからこそ、元気なうちからの準備が大切になります。
BEFORE|例えば、70歳。一人暮らし。まだ元気。
今は自分で運転できる。買い物もできる。銀行にも行ける。病院にも一人で行ける。
だから「まだ何もしなくていい」と思うかもしれません。
でも、元気な今だからこそ考えられます。
もし救急搬送されたら、誰に連絡してほしいのか。入院するとき、誰に来てもらうのか。車に乗れなくなったら、病院へどう行くのか。自宅で暮らせなくなったら、どこへ住みたいのか。認知症になったら、お金の管理を誰にお願いしたいのか。
さらに、自宅をどうするのか。最期をどこで過ごしたいのか。お葬式や納骨はどうしたいのか。家財道具は誰に片付けてもらうのか。
こういう話を、元気なうちに少しずつ決めておく。それが「終活」の本来の意味なのかもしれません。
GUIDE|任意後見という選択肢もあります。
成年後見には、家庭裁判所が選任する法定後見とは別に、任意後見があります。
任意後見は、本人がまだ十分な判断能力を持っているうちに、「将来、自分の判断能力が低下したら、この人に財産管理などをお願いしたい」と決めて契約しておく制度です。
任意後見契約は公正証書で締結し、実際に判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると効力が生じます。
つまり、**「認知症になってから考える」のではなく、「認知症になる前に自分で選んでおく」**という方法です。
MAP|将来への備えは、一つの契約では完成しません。
将来の支援は、一つの制度ですべて解決するわけではありません。
| 制度・サービス | 主な役割 |
|---|---|
| 生活支援 | 通院、買い物、日常生活などを支える |
| 身元保証 | 入院・施設入居・緊急時などを支える |
| 任意後見 | 元気なうちに将来の財産管理等を任せる人を決める |
| 法定後見 | 判断能力が低下した後に家庭裁判所を通じて法律面を支援する |
| 遺言 | 亡くなった後の財産の承継等を決める |
| 死後事務委任 | 葬儀・納骨・解約・家財整理など死後の実務を依頼する |
例えば、元気なときは生活支援と将来の希望整理。身体が弱ってきたときは生活支援や身元保証。判断能力が低下したときは任意後見や法定後見。亡くなった後は遺言や死後事務委任。
このように、人生の段階によって必要な支援は変わります。
TOPIC|国も「身寄りのない高齢者」の問題に動き始めています。
身寄りのない高齢者をどう支えるかは、民間だけの問題ではなくなっています。
国では、身寄りのない高齢者等について、相談窓口を設けることに加え、日常生活支援、入院・入所手続きの支援、死後事務の支援までを組み合わせた仕組みづくりが検討されています。
つまりこれからは、「家族がいることを前提にした高齢者支援」から、「家族がいなくても地域で暮らせる支援」へ、社会全体が少しずつ変わっていくことになります。
LIFE|家族がいないことで困るのは、介護だけじゃない。
僕たちが高齢者の方と関わっていると、介護保険では解決できない困りごとに出会います。
「病院に行きたいけど、付き添ってくれる人がいない」「救急搬送されたけど、病院から連絡する家族がいない」「老人ホームを探したいけど、一人では見学に行けない」「施設とのやり取りを手伝ってほしい」「自宅を退去するけれど、家財を片付けられない」「亡くなった後のことをお願いできる人がいない」。
一つ一つを見ると、小さなことに見えるかもしれません。でも本人にとっては、その一つが解決できないだけで生活が止まってしまうことがあります。
介護、医療、行政、法律、生活支援。それぞれに制度はありますが、その制度と制度の間に困りごとが残ります。
SUPPORT|身元保証サポート秋桜にできること。
身元保証サポート秋桜では、身寄りのない方、ご家族が遠方にいる方、家族には頼りにくい事情がある方など、高齢者の暮らしをサポートしています。
入院や施設入居時の身元保証、緊急時の連絡先、入退院のサポート、高齢者施設探し、施設見学への同行、日常生活で困っていること。そして、**「この先、一人で大丈夫だろうか」**という将来についての相談にも対応しています。
法律や財産、後見、遺言など専門的な判断が必要になる部分については、必要に応じて弁護士・司法書士等の専門家と連携しながら進めます。
私たちだけですべてを解決するのではありません。医療、介護、行政、専門家、地域。それぞれをつなぎながら、その人の暮らしを支える。身元保証サポート秋桜が目指しているのは、そんな存在です。
このまちで、これからも。
認知症になったら、今までの暮らしが全部終わるわけではありません。
できることは自分でする。難しくなったところだけ、誰かに頼る。そして、自分で決められるうちに「自分はどう暮らしたいのか」を少しだけ考えておく。
それだけでも未来は変わります。
「まだ元気だから、必要ない。」ではなく、「まだ元気だから、考えられる。」
そして、「家族がいないから、できない。」ではなく、「家族がいなくても、支えられる仕組みをつくる。」
これから高齢化がさらに進む日立市で、必要になるのは、そんな地域なのかもしれません。
いつまでも、このまちで安心して暮らすために。身元保証や、一人暮らしのこれから、認知症になる前の準備について気になることがあれば、身元保証サポート秋桜へお気軽にご相談ください。
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